医師国保は本当に安いのか
2017.09.02
Webを見ていたら「医師国保は保険料が安いので不公平だ」という記述がありました。

たしかに保険料だけ見ると安いのですが、そう書いている人は医師会に我々が支払わなければならないものがあることをご存じないようです。

医師国保は医師なら誰でも加入できるわけではなく、医師会の会員である個人事業主に限られます。また、従業員数が5人以下の医療機関に適用されます。この人数を超えると協会けんぽとなります(例外はあります)。

まず医師会に入っていると医師会費がかかります。私の場合地区医師会が年間15万円(会によって違う)。これでもずいぶん値下げされました。さらに県医師会・日本医師会の会費が年間25万円です。

また、入るときに入会金がかかります。私のとき地区医師会は百万円以上でした。「医師会館を新しくするために必要」と言われましたが、実際には新築されませんでした。県・日本医師会も入会金はありました。

というわけで、医師国保は安いという議論は正しくないのです。

以前から医師会には入らない医師もいます。代表的な例はずっと勤務医でいる人。病院の偉い人は医師会に入っているのが普通ですが。いちおう勤務医で入れる会員種別もあるのですが(会費も安い)、勤務医のうちは医師会に興味がない人が多いので、加入率は高くありません。基本的には医師会は開業医のための組織です。

また、最近多いのは開業していながら医師会に入らない人。メリットがないというのがその理由です。なるほど、そのように感じられるのも無理はありません。

医師会に入るメリットは以下のとおりです。


  • 医師会が開催する勉強会に参加できる

  • 検診や夜間診療所当番などのアルバイトができる

  • 医師専用の損害保険に安く加入できる

  • 問題が起こったときに専門家を紹介してもらえる(弁護士や社労士など)

  • 制度改正を教えてもらえる

  • 親睦に参加できる(懇親会や旅行、趣味のクラブなど)



まあこんなところでしょうか。検診や夜間診療は嫌がる人も多いですけど。仕事以外にやるわけなので。よく市などがやっている夜間休日の診療所は医師会員が仕事が終わったあとに持ち回りでやっているものがほとんどです。そういうことすら知らないで医師会の悪口を言っている人がいますけど。ちなみにその昔、健康保険で抗生剤が使えるようにしたのは日本医師会でした。

医師会は政治団体だと思われていますが、正確には違います。それは医師政治連盟のほうであり、別組織です。もちろん医師会とリンクした組織ですが、加入を強制されることはありません。
航空機内で歌を歌った人がいたことについて
2017.08.22
トラブルで離陸できない航空機の中で、客へのサービスとしてプロの歌手が歌を歌ったということが報道されていました。私はとても困ったことだと感じました。そのため、以下のような意見をその航空会社に送りました。

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私は片頭痛を持っています。片頭痛はその頭痛発作が起こる前や起こっている最中は音や光に対する過敏性が増して頭痛の苦痛が大きくなります。特に甲高い人の声ではその影響が大きいのです。航空機の機内という逃げられない場所で大きな音に晒されることは大変つらいことです。

また航空機内では気圧の変化もあるので、余計に片頭痛が起こりやすい環境であることも申し添えます。

○○さんの行動や貴社の判断を良しとする声が多いようですが、医学的な配慮も行ってほしいと思います。
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病気だけでなく、瀕死の家族に会いに行くような人もいるはずです。公共の場で静かにするのは基本的な礼儀です。

私のような意見はごく少数だと思いますが、航空会社には伝えておくべきことと思いました。

ストレス解消にはストレスがなくなるのが一番
2017.08.09
タイトルの文は正しくは「ストレス解消にはストレッサーがなくなるのが一番」です。

はじめに用語を解説します。

ストレスとは、何らかの変化によって身体と精神に起こる反応を言います。ストレッサーとは、ストレスを起こす原因のことです。

ですので、「会社の上司の○○が嫌で困る。あいつはストレスだ」という言い方は間違いで、正しくはストレッサーなのです。

さてここから本題。

私の外来にはストレスで調子が悪くなる人がたくさん来ます。多いパターンとしては職場の人間関係が悪い、長時間労働させられている、のふたつ。職場の人間関係の問題はいじめといってよいものがほとんどです。さらにここ数年は「退職させないいじめ」もあります。

職場以外では夫婦仲や家族仲が悪いというもの。多くはいわゆるモラハラ、DV、浮気されるなどが原因となります。また現代でも嫁姑問題は深刻です。

ストレスから来る調子の悪さを取り除くには、まずストレッサーを遮断することが必要です。職場が原因なら職場に行かない。家族が原因なら別居する。当然のことです。

ただ実際にはこれが非常に難しい。それもまた当然のこと。

しかし、「ストレッサーから離れる」ということをしなければ、ストレスは改善しないのです。

私自身が健康診断を受けたとき「先生は専門家だからストレス解消法なんて上手でしょう」と言われたりします。

どんでもない。

そんな魔法のような方法は無いのです。

もし何かあるとすれば、信頼できる人にいま起こっていることを話すこと。問題をクローズドにしていても良いことはありません。オープンにすることは問題解決への第一歩です。

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